概要
原題:Last Girl Standing
製作:2015年アメリカ
配信:トランスワールドアソシエイツ
監督:ベンジャミン・R・ムーディ
出演:アカシャ・ヴィラロボス/ダニエル・エヴォン・プローガー/ブライアン・ヴィラロボス/JD・カレラ/ジェイソン・ヴァインズ
5年前、カムリンは友人たちとキャンプ中に獣マスクの殺人鬼に襲われた。友人たちは皆殺しにされたが、カムリンは殺人鬼を返り討ちにして生き延びた。その後、PTSDに苦しみながらもクリーニング店で働いていたカムリンは、再びあの殺人鬼の影を感じ始める。優しい同僚とその友人たちに助けられながら、そのトラウマを振り払おうとするが…
予告編
感想
「よくあるスラッシャーホラー映画的な状況を唯一生き延びた女性」のその後を描いた、どちらかといえばヒューマンドラマに重きを置いた風な作品。ちなみにラストサマー要素は特になし。アマプラ299円。
10年も日本の配給会社が放置していたとは思えないほどクオリティは高く、面白いです。ただ楽しいかと言われればそんなところは全く無く、スラッシャーな事態が起きるのは最初と最後だけ。尺の大半はPTSDに苦しみまくる哀れな主人公カムリンの描写に費やされており、観ていて辛くなってくる話です。
殺人鬼の影に怯え、時には警察に通報してしまうも痕跡がなく誰も信じてくれない。そのせいで仕事では大ポカをやらかし、周囲の人たちには呆れられどんどん孤立していく。これ自体は正直あまり好きな展開ではないです。しかし本作の場合は完全に孤立はせず、本当に親身になって救おうとしてくれる優しい人が現れる。
こんな私(カムリン)に優しくしてくれる人がいるなんて…これってもしかして普通にイイ話なのでは?という気分になってきます。なんせ普段はろくでもないことばかり起きてるホラー映画しか観てないので、たまにこういう慈愛を見せられるといともたやすく感動してしまう。柄にもなく「彼女の献身が報われて欲しい」とか「このまま救われてハッピーエンドで終わってもいいのよ」とか思ってしまう。我ながらなんと安い感性なのか。これが実にいけない。製作者の術中に嵌っています。
だってどう考えても穏便に終わるわけないですからね。いくら中盤で丁寧なヒューマンドラマを展開しようが何だろうが、クライマックスで起きる惨劇の前フリでしかないのは火を見るよりも明らか。とはいえ殺され要員としか思えないカスい奴も何人かいるので、そいつらが肉塊になるだけで済む可能性もなくはない。それによって、今度こそトラウマを乗り越えたのよ…エンドになるのかなと。
…かなと思ったんですが、全然そんなことはなかったですね。恐ろしく胸糞で救いの欠片もない。 いやそれでも予想の範囲内ではあったんですが、描写が思ってたより結構えぐい。ハンマーで殴ったら激しく痙攣したりとか。普段なら歓迎する「全力の殺し合い」もあの前フリの後だとちょっとキツイ。スラッシャーホラーらしいことをそれまで全然しないで溜めに溜めた分もあり、かなりの絶望的インパクトでした。まあ、観た者の心に爪痕を残してくれる良い作品だったと思います。
「ラスト・サマー・ナイト」(Amazon Prime Video)
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