「グロテスク・ツアー ヴァルブルガの呪い」 感想 衝撃の丸ノコ発射装置

概要

原題:The Curse of Valburga

製作:2019年スロベニア

配信:トランスワールドアソシエイツ

監督:トマズ・ゴルキッチ

出演:ユーリ・ドレヴェンシェク/マルコ・マンディッチ/ニクラス・クヴァルフォルト/サシャ・パブリン・ストシッチ/カタリナ・ステグナル


エビも買えない貧乏人マルヤンとボーヤンの兄弟は、ボロ儲けのアイデアを思いつく。それは、ドラキュラ伯爵のイトコとされる人喰い男爵ヴァルブルガの屋敷に観光客を連れて行き、お化け屋敷的演出を加えてカネを巻き上げようというものだった。

だが、そんな彼らの背後から巨大な丸ノコが飛んでくる。


予告編

感想



スロベニアの吸血鬼伝説をモチーフにしつつ全く違った殺人鬼が大暴れするスプラッターコメディ。

アマプラ299円。



スロベニアの映画なんてほとんど観る機会はないんであまり期待してなかったんですが、これは大変面白かったです。TWA提供のアマプラ配信スルー作としては年間ベスト級。貧乏人のマルヤンが観光詐欺で一儲けしようぜ!と企む導入からしてもう面白い。スロベニアのお国柄なのか知らないけど、どいつもこいつもヤクザみたいに気が強く頭がおかしく関わり合いになりたくない人種ばかり。酒場にいたおばさんに声をかけただけで「先にお前のアレを見せろ!」とキレられたりするし、屋敷の管理人のオッサンとかも意味もなくキレて恫喝してくるのでコワイ。



カネのためとはいえそんな野蛮人観光客たちを引率して吸血鬼ゆかりの廃墟を案内するのも相当な重労働に見えます。彼らが大人しく集団行動してくれるはずもなく、真っ先に「俺のタマの導く方向へ行こう」などとのたまい離脱するポルノアーティスト・ヴァシリー(とその連れ)は近年稀に見る迷言製造機でとりわけ愉快なキャラクターでした。まあ10割下ネタなのでここにはあまり書けませんが、「私のア*ルのキャリアが終わった このクソ野郎!」には笑わせていただきました。



そんな濃い集団を襲う殺人鬼もまた異常に濃い。てっきりドラキュラみたいなモンスターが襲ってくるのかと思いきや、軍服姿のジャギみたいな食人鬼がデカい丸ノコ射出装置を携えているという驚くべきインパクト。そんなの初めて見た。いかにあたおか野蛮人共といえど、高速で発射される八つ裂き光輪にはなすすべもなく斃れ伏していく。野蛮人側の戦力も相当高いと思っていただけにこのワンサイドゲームっぷりはなかなかの衝撃です。



「これはいい肉だ

こんないい肉にありつけるとは最高だ」



その屋敷には野蛮人を超えた人喰い野蛮人が巣食っていたのだ…!

丸ノコ発射は爽快でいいけど、その後の人肉処理シーンは結構シリアスなグロさがあるのでご注意ください。



そんな極限的地獄絵図の中、貧乏人魂を爆発させるマルヤンがマトモすぎてかわいそう。



「俺だって妥当な稼ぎが欲しいんだ!

エビとかカクテルとかを買ってみたい!

それなのにこのザマだ!

俺は何も手に入れられない クソが!」



詐欺っていうほど悪質な商売じゃなかったと思うし、こういう人には幸せになってほしいものです。

まあそんなぬるい映画じゃないんだけどね。





「グロテスク・ツアー ヴァルブルガの呪い」(Amazon Prime Video)


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